ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー/原題 REVEL IN THE RYE  

孤独のなかで言葉があふれ出す(ファントム・フィルム

〓DATE

2019.1.20(日)Screen10(CINEMA IKSPIARI

〓FILMMAKERS

監督・脚本・製作 ダニー・ストロング、原作 ケネス・スラウェンスキー「サリンジャー 生涯91年の真実」2012、製作会社 ブラック・ラベル・メディア、配給 IFCフィルムズ(米) ファントム・フィルム(日)

〓CAST

ニコラス・ホルト(J.D.サリンジャー)、ケヴィン・スペイシー(ウィット)、サラ・ポールソン(ドロシー・オールディング)

〓概要

 第二次世界大戦(ヨーロッパ戦線)への出兵を挟んでの、J.D.サリンジャーの創作意欲の変遷、自分を主人公 ホールデン に置き替えた『ライ麦畑でつかまえて(1950)』の誕生、人気作家として大成功を収めるも社会との繋がりを絶つにいたる経緯などが描かれた作品。

 特には壮絶な戦争経験によるPTSD心的外傷後ストレス障害)がサリンジャーに大きな傷跡を残している様子が描かれている。

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〓cinemaeyes

 今年はJ.D.サリンジャー(Jerome David Salinger、1919.1.1~2010.1.27)の生誕100周年、『ライ麦畑でつかまえて(1950、The Catcher in the Rye)』は全世界累計6500万部、日本では村上春樹の新訳でさらにファンが増えたという。人気作家として成功を収めるも自ら身を引いていくのだが、そのことが本人の意図とは逆にサリンジャー人気を高めることになったという。

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 何かの得意的才能に溢れた人は、周りのすべての人も幸せに出来る才能も持っている訳ではないのだろうか?サリンジャーの場合は自然とあふれ出す言葉の数々をタイプしていくため、時には何日間も家族をないがしろにして創作活動に没頭するのだが、そのことが妻には理解されず、妻を孤独に追いやってしまう。

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 言葉があふれ出すとき、何かの発想を思いついたとき、家族サービスに転じてしまったら、その時の集中力が揮散し、折角思いついた言葉の数々も薄くなって消えていくものだ。ではメモをしたらいいのでは?と思うのだが、サリンジャーの場合はその時にたくさんの言葉が溢れてくるものだからメモレベルの量では足りなかったのだろう。

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 サリンジャーはたくさんの良き理解者に恵まれたとして描かれている。特に、サラ・ポールソン演じるドロシー・オールディングはサリンジャーのことを最も理解してくれた一人だったようだ。サリンジャーがもう書くのを止めようと思うと相談した際には、サリンジャーが自らの収益源であるにも関わらず、止めることに理解を示したのだ。『オーシャンズ8(2018)』でも サラ・ポールソン は豊かな個性の一人を演じていた。清楚で安定感のある役柄にはピッタリな女優さんだ。

 また、母のミリアム・サリンジャーは最初から最後まで惜しみない応援をしてくれたようだ、『ライ麦畑でつかまえて(1950、The Catcher in the Rye)』は表紙をめくると ´母に捧ぐ´ の一文がある。息子には才能があるとしていつも応援してくれる姿が描かれている。
www.rebelintherye-movie.com

 

 

 

マイル22/原題 Mile 22

〓DATE

2019.1.19 Screen5(T-JOY)

〓FILMMAKERS

監督 ピーター・バーグ、脚本 リー・カーペンター、製作会社 フワイ・ブラザーズ STXエンターテイメント、配給 STXエンターテイメント(米) クロックワークス(日)

〓CAST

マーク・ウォールバーグ(シルバ)、ローレン・コーハン(アリス)、イコ・ウワイス(小包ことリー・ノア)、ロンダ・ラウジー(スノウ)、ジョン・マルコ・ヴィッジ(ビショップ)、CL(クィーン)

〓閲覧制限

R15+

〓ご注意

以下の文章にはネタバレを含みますのでご注意ください。

〓概要

 実在のCIA特殊部隊をモデルに選りすぐりのメンバーで構成された オーバーウォッチ と呼ばれるチームの任務を描くフィクション、地上戦闘チームと情報支援のチームで構成され、その実態は秘密裏にされている。

 ある任務でロシア人の青年を射殺する、その青年の母親がロシア政府情報機関の高官だったことから、オーバーウォッチ を殲滅させる作戦がロシアにより遂行されていく。

 アメリカの輸送機は離陸した、果たしてその後はどの様になったのだろうか?・・・

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〓cinemaeyes

 地元警官役のイコ・ウワイス(小包)が助演男優として重要な役回りとなっている、すごい肉体を持ち格闘技に優れ存在感は抜群だ。インドネシア ジャカルタ出身で『スターウォーズ/フォースの覚醒(2015)』ではハン・ソロの船に乗り込んでくるメンバーの一人を演じていた。

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 ロシアにより周到に仕組まれた復讐劇、ここまで周到に準備を行うものか?と思わせるほどで、アメリカ側の負けを描く作品であるところが珍しい。3重スパイが描かれることもあって少しストーリー展開が分かり難く、筆者の様な映画素人の目にも95分の中では十分描き切れなかった感を受けるのは率直な印象だ。評価サイトのロッテン・トマトでのスコアは23%(2019.1.19現在)となっている。

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 本作撮影には本物の銃器が使用されているから戦闘シーンは臨場感が凄い、とてもリアルだ。また、撮影では大判レンズやドローン、多数のGoProを使用したとのことで、観客はたくさんの角度からの映像情報を観ることができた。
mile22.jp

 

クリード 炎の宿敵/原題 Creed Ⅱ

〓DATE
2019.01.14 SCREEN8(CINEPLEX)
〓FILMMAKERS
監督・脚本 スティーブン・ケイプル・Jr、製作総指揮 ライアン・クーグラー、脚本 シルベスター・スタローン & チェオ・ホダリ・コーカー、製作 ウィリアム・チャートフ&アーウィン・クーグラー、製作会社 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー 配給 ワーナー・ブラザース(日)
〓CAST
マイケル・B・ジョーダン(アドニスクリード)、シルベスター・スタローンロッキー・バルボア)、テッサ・トンプソンビアンカ)、フィリシア・ラシャド(メアリー・アン・クリード)、ドルフ・ラングレン(イワン・ドラゴ)、フロリアンムンテアヌ(ヴィクター・ドラゴ)、ブリジット・ニールセン(ルドミラ・ドラゴ)
〓閲覧制限
なし
〓ご注意
以下にはネタバレを含みますのでご注意ください
〓概要
 『ロッキー』シリーズの主役たちは年老いて、その子供たちに受け継がれた宿命の対決の物語、本作のテーマは『家族』、それぞれの家族の繋がりが対比されて描かれる。

 リング上の試合シーンは圧巻、本当に顔面に、ボディに、ヒットしている。顔面各所からの出血もとてもリアルだ。 

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〓cinemaeyes

 脚本が良くできている。『ロッキー』シリーズがスタートしてから42年、本作は延べで言うと7作目に当たるスピンオフ作品だが、この相当な時間を武器にして強力な脚本に仕上がっているのだ。『ロッキー』シリーズの圧倒的なネームバリュー、シルベスター・スタローンの強烈な存在感、父から息子へ受け継がれる宿命、これらを上手く、有機的につなげて自然で無理のないシナリオに仕上がっている。シルベスター・スタローンをはじめとする関係者全員が『ロッキー』シリーズをとても大切にしていること、誇りをもって接していることが感じられるのだ。

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 アドニスクリードのボクサーとしてのデビューの仕方は凄い、前作『クリード チャンプを継ぐ男(2015)』では、昼間はワイシャツ&ネクタイで投資銀行か証券会社らしき金融機関で働き、趣味でボクシングをしている風のところから、昇進を告げられた会社を辞め、プロボクサーになる決意を固めていくのだ。『ロッキー(1976)』でのロッキー・バルボアの取り立て屋をしながらの落ちぶれたボクサーとは、出自がまるで違うのだ。ヘビー級タイトルマッチのような至高の闘いの場で勝つためにはハングリー精神が重要な要素ではないか?と思うのだが、そこはアドニスの生まれがアポロの愛人との子供であることから世間の目を見返そうという思い、父アポロ・クリードの敵討ち、そして本作のテーマ「家族」のため(血の繋がりがない母に認められたい も含む)、に置かれている。

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 ヴィクターは余りにも強すぎる、練習内容からしアドニスの比ではない。こんなヴィクターのようなボクサーはかつて実在した。スクリーンを観て思い出すのは、背は低いが、まさに野獣という表現がぴったりの マイク・タイソン だ。全盛期だったヘビー級チャンピオン時代はとにかく強い、強すぎた。当時はこんな野獣のような人間を放置しておいたら何をしでかすか分からない と不安さえ覚えたくらいだった。

 1876年に建設されたフィラデルフィア美術館の正面玄関の階段は ロッキー・ステップ と呼ばれる。実際にロッキーの銅像も置かれ、ロッキーの聖地となっている。前作「チャンプを継ぐ男」ではラストにこの階段をアドニスとロッキーのふたりで登ったのだが、今作ではこの聖地をドラゴ父子に登られ、まるで聖地を踏み荒らされたような気分にさせられるのだ。これはやがてアドニスがドラゴに叩きのめされることを予見するような象徴的なシーンとなっている。フィラデルフィアは フィリー と愛着をもって呼ばれており、ロッキーもビアンカから「ロッキーフィリーだもね」と呼ばれる。

 タイトルマッチの入場シーンはとても重要、相手を圧倒するように格の違いを示すかのように様々な思考を凝らす、そして今回の目玉はテッサ・トンプソンの「I WILL GO TO WAR」、アフレコでなければその歌声はまるでプロ歌手、こんな入場観たことないのだ。

 リング上の死闘が終われば叫ばねばならない。かつては「エイドリア~ン」、今回は叫んだ感じはないが言ってくれました「ビアンカ~」、良かった・・・
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蜘蛛の巣を払う女/原題 THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB

ドラゴン・タトゥーの女』シリーズ最新作

〓DATE

2019.01.13 SCREEN3(TOHO)

〓FILMMAKERS

監督・脚本 フェデ・アルバレス、製作総指揮 デヴィッド・フィンチャー、原作 デヴィッド・ラーゲルクランツ、配給 コロンビア映画(米) ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント(日)

〓CAST

クレア・フォイ(リスベット)、シルヴィア・フークス(カミラ)、スヴィリケル・グドナソン(ミカエル)

〓閲覧制限

PG12(Parental guidance suggested 12)

〓ご注意

以下にはネタバレを含みますのでご注意ください

〓概要

 本作の原作は、 推理小説スティーグ・ラーソン著「ミレニアム」シリーズ、すなわち、第1部「ドラゴン・タトゥーの女」・第2部「火と戯れる女」・第3部「眠れる女と狂卓の騎士」の3部作と デヴィッド・ラーゲルクランツ による続編(第4部)の「蜘蛛の巣を払う女」で、本作は スヴィリケル・グドナソン の続編(第4部)を映画化したもの。この後は、ラーゲルクランツによる第5部、第6部も発表されるようだ。

 ドラゴンタトゥーが背中にある天才ハッカー リスベット は、核攻撃プログラムをアメリカから取り戻すようある科学者から要請を受ける。ハッキングして入手したプログラムの入ったPCを依頼者に届けようとした際、そのPCを何者かに奪われてしまう・・・

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 リスベットは非合法な正義の味方、ダークヒロインだ。幼少期に妹を助けられなかった経験から、調査探偵を仕事としながら陰で女性を守っている、ドラマ『アロー』に似た展開だ。

〓cinemaeyes

 主人公のクレア・フォイ演じるリスベットの体格は小柄、格闘技に優れるが敵をバタバタと倒せるわけではないし、決して美人でもない、もしかするとすぐ近くにでも居そうな感じがする。主演女優がスタイル抜群の美人で格闘技に優れるアクション作品は多くあり、そのどれもが作りました感が満載なのだが、リスベットは敵にやられるし、捕まってしまう。ストーリー展開が他の作品よりも自然だからスクリーンに没入してしまう。

 現在、ハッキングは国際的に深刻な大問題だ。本作のようにハッキングされネットワークに入られると核が勝手に使用されたり、戦争せずともサイバー上で他国の軍門に下る可能性が懸念される事態となっている。本日も全国紙の一面で他国による米司法省や日本国内への不正アクセスが報じられているところだ。

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 建物内の監視カメラをハッキング、建物内の人物を3D化し、狙撃用のライフルのスコープにターゲットを赤い点で投影し精密射撃していく、この様な攻撃は実際に可能なのだろうか?『アメリカン・スナイパー(2014)』で描かれていた当時の戦い方に、ドローンを使って敵をPC画面上で3D化し、スコープに赤い点で示すことができればもっと違う戦い方になっていたはずだ。

 リスベットは黒の革スーツを着て、冬のスウェーデン ストックホルム の市街を黒のドゥカティのネイキッド(MONSTERだろうか?)で疾走する。アイスバーンも走るからスパイクタイヤだろうか?MotoGPドゥカティはホンダやヤマハと共に戦う世界トップ水準のメーカーだ、イタリア車らしくデザインは秀逸だ。そして、ランボルギーニも黒で登場、黒で統一された作品だ

 シルヴィア・フークスの演じたリスベットの妹カミラ、唯一、赤を纏い外見からして冷徹で手ごわい役を演じた。なにせ『ブレードランナー2049(2017)』でK(ライアン・ゴズリング)との死闘を演じた記憶も新しいから、イメージからしても冷徹で手強いイメージが先行するのだ。リスベットとカミラは16年を経て敵対しての再開となった、果たしてこの結末は・・・

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アリー スター誕生/原題 A STAR IS BORN

〓DATE

2018.12.23(日)Screen9

〓FILMMAKERS

監督 ブラッドリー・クーパー、脚本 エリック・ロス、ウィル・フェッターズ、2018年アメリカ映画、配給 ワーナー・ブラザース映画

〓CAST

ブラッドリー・クーパージャック)、レディー・ガガアリー)、アンドリュー・ダイス・クレイ(アリー 父、ロレンツォ)、サム・エリオット(ジャック兄、ボビー)、ラフィ・ガヴロン(マネージャー、レズ・ガヴロン)、ルーカス・ネルソン(ギタリスト、ルーカスはウィリー・ネルソンの息子)

 〓ご注意

以下の内容にはネタバレを含みますのでご注意ください。

〓観覧年齢制限

PG12 

〓概要

 アリーは歌が上手く、作詞作曲もできプロの歌手を目指しているが、道が開けず、しがないウェイトレスとライブハウスで歌う日々を過ごしていた。

 ある日、売れっ子ミュージシャンのジャックは大きなコンサートの後、アルコールを求めて小さなライヴのあるバーに立ち寄り、そこで歌っていたアリーの才能を見抜く。

 ジャックは自分の大規模ライヴにアリーを招き、大観衆の前で歌わせる。アリーの圧倒的歌唱力は観客を魅了し、それからのジャックのステージではアリーとのコンビで演奏公演をこなすようになっていく。

 そんなある日、マネージャー業のレズ・カヴロンがアリーのマネージャーを申し出る。それからアリーは一挙にスターの道を駆け上っていく。

 一方でジャックは聴力が失われつつあることや、自らが見出したアリーがスターになっていくことへの嫉妬で、さらにアルコールとドラックに漬かるようになっていく。

 ある日、ジャックはレズから衝撃的な一言を告げられる、ジャックの失態を周りのみんなで収拾を図ってきたこと、ジャックの存在がアリーにはとても重荷になっていること、でもアリーはジャックを愛する気持ちからそれを不満として漏らさないこと、そんな事実を知ったジャックがとった選択とは・・

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〓cinemaeyes

 『スター誕生(A Star Is Born)』はアメリカの伝統的な作品だ。1937年作、1954年作、1976年作、そして、2018年の本作が3度目のリメイク版で4度目の映画化となった。ストーリー展開は全作ともスターが誕生するまでの栄光と葛藤を描く、先の2作はムービースターの、後の2作は音楽アーティストの設定だ。前作の『スター誕生(1976)』ではバーブラ・ストライサンドの歌う スター誕生の愛のテーマ「Evergreen」が世界的な大ヒットとなりアカデミー賞歌曲賞、グラミー賞最優秀楽曲賞などを受賞、今ではすっかり世界のスタンダードナンバーとなっている。さて、本作は既にアカデミー賞の呼び声高い、楽曲ではサウンドトラックが既に全米・全英・iTunesのアルバムチャート1位を獲得している、この後の発表がとても楽しみだ。

 本作での注目の一つはブラッドリー・クーパーのエレキテクニックとプロ同等の歌唱力だ。冒頭のライヴ、間近の歓声の物凄い強さの「音圧」がスクリーンから観るものに伝わってくる中、ブラッドリーの歌声が響き渡る。この作品のメインテーマとなるサウンドトラック12曲目の「シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」でも出だしはブラッドリーからだ。さらに極めつけはラストトラックの「アイル・ネヴァー・ラヴ・アゲイン」でのガガとのピアノの弾き語りだ、初監督作品でありながらもミュージシャンとしての可能性をも伺わせる作品となった。

 アカデミー賞主演男優賞を受賞した『アメリカン・スナイパー(2014)』の強烈な印象からはかなり体重を落とし本作に臨んだことが伺える、伝説のスナイパー クリス・カイル の時はふっくら大柄のアメリカ人だったが、本作では頬が見事にこけ堕ち神経質そうな人柄を十分に表現することができた。ハリウッドの中ではミュージシャンがらみで最も役柄ギャップが大きいツートップの一人に躍り出たといえよう(ツートップのもう一人はもちろん ライアン・ゴズリング だ)。

 ストーリー展開からして、これだけ人気あるミュージシャンのジャックとアリーならば、たくさんのマスコミやファンに取り囲まれるはずだが、その様なシーンは一切ない、全く皆無だ。全編が二人の愛の行方と音楽活動に費やされている。これくらい潔いと、スクリーンを観る者は集中して二人の行方と同化、没入していくことができるのだ。

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 そして、レディ・ガガ(本名はステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ)、その名はフレディ・マーキュリーの声のスタイルと似ているとしてロジャー・テイラー作詞・作曲の「Radio Ga Ga」から付けられた芸名だ。多くの女性シンガーが甲高い歌声でシャウトしながら歌うのに対し、レディ・ガガの歌声は比較的太く低めだから聞いていて疲れない歌声だ。類に出すのはおかしいのだが日本の歌手では宇多田ヒカルが似た歌声を持つ。本作ではジャックに対し最初から最後まで純粋に愛情を貫き通す演技が深い余韻を残す。

 「アリー/スター誕生 サウンドトラック」から選ぶベスト2は次の2曲、①17曲目 オールウェイズ・リメンバー・アス・ディス・ウェイ~2人を忘れない、②12曲目 シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」 

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くるみ割り人形と秘密の王国/原題 THE NUTCRACKER AND THE FOUR REALMS

〓DATE

2018.12.01(土)Screen6

〓FILMMAKERS

監督 ラッセ・ハルストレムジョー・ジョンストン、脚本 アシュリー・パウエル、音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード、配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン、2018年アメリカ映画

〓CAST

マッケンジー・フォイ(クララ)、キーラ・ナイトレイ(シュガー・プラム)、モーガン・フリーマンドロッセルマイヤー)、ヘレン・ミレン(マザー・ジンジャー)、ミスティ・コープランド(プリマバレリーナ)、ジェイデン・フォーラ=ナイト(キャプテン・フィリップ)

〓ご注意

以下の内容にはネタバレを含みますのでご注意ください。

〓概要

 『プーさんと大人になった僕』『アリス・イン・ワンダーランド』などには現実社会と物語の世界との出入口がある、そしてこの作品でもそんな出入口がある。その入口に立っている衛兵がそう、くるみ割りの兵士だ。

 お母さんを亡くしてギクシャクしているクララ、姉、弟、そして父親の4人家族。初めて迎えるクリスマスに父親がクララに渡したクリスマスプレゼントには鍵穴はあるが鍵はない。ドロッセルマイヤーさんのクリスマスパーティーでその鍵を探すこととなる。

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〓cinemaeyes

 皆さんは「くるみ割り人形」の物語をご存じだろうか?1816年にドイツのE.T.A.ホフマンにより発表された「くるみ割り人形とねずみの王様」が原作だ。 

 マッケンジー・フォイちゃんは本物の美少女だ、在りし日のダイアン・レインやイザベル・アジャニーなどと同じく、大きなスクリーンに映るホイちゃんを観るだけでも十分な価値がある。日本が広瀬すずなら、アメリカはマッケンジー・フォイだ。

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 ジェイデン・フォーラ=ナイトは実に美しい顔をしたくるみ割りの兵士役を演じた。かつて『ボディーガード』のレイチェルの息子役を演じ、『レディ・プレイヤー1』では企業の社員役で出演していた。

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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生/原題 Fantastic Beasts:The Crimes of Grindelwald

史上最大の敵に、試される仲間たちの絆(ワーナー・ブラザース

〓DATE

2018.11.24(日)Screen10

〓FILMMAKERS

監督 ディビット・イェーツ、脚本 J.K.ローリングス、配給 ワーナーブラザース

〓CAST

エディ・レッドメイン(ニュート・スキャマンダー)、ジュード・ロウダンブルドア)、ジョニー・デップ(黒い魔法使いグリンデルバルド)、ティナ(米国魔法省キャサリン・ウォーターストン)、クイニー(ティナの妹アリソン・スドル)、エズラ・ミラークリーデンス)、ダン・フォグラー(ジェイコブ)、カラム・ターナー(英国魔法省テセウス・スキャマンダー)、ゾーイ・クラヴィッツ(リタ・ストレンジ)

〓ATTENTION(ご注意)

以下の文章にはネタばれを含みますのでご注意ください。

〓OUTLINE

 前作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016)」の続編、全5作が予定されている「ファンタスティック・ビースト」シリーズの2作目、本作ではハリポタシリーズからのつながりがより濃く描かれる。

 黒い魔法使いグリンデルバルドが逃げ出し、魔法界と人間界(マグルまたはノーマジ)の支配を企む、それを阻止するためにアメリカ魔法省やイギリス魔法省、そしてニュートの仲間たちが立ち向かう。 

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 ダンブルドアは元教え子のニュートにグリンデルバルドを倒すことを任せる、恩師ダンブルドアの方が魔法の腕は上手なはずなのに・・、なぜダンブルドアがニュートに託したのか?その理由はラストで明らかになる。 

〓cinemaeyes

 ファンタジー映画の最高峰「ハリー・ポッター」シリーズ全8作から遡ること約70年前の出来事が「ファンタスティック・ビースト」シリーズの世界、「スター・ウォーズ」シリーズと同様に歴史を巻き戻す展開だ。最新作の方が映像技術は発達しているから、ハリポタよりもファンタビの方がきれいな映像で描かれる。

 最強の杖「ニワトコの杖」をグリンデルバルドが所有して現れる、ハリポタシリーズではダンブルドアが所有していることから、これからの持ち主が変わっていく経緯には深い事情がありそうだ。ちなみに我が家にも「ニワトコの杖」がある、重量感がとてもあり今にも魔法を繰り出せそうな気配だ(USJで買いました)。

 ポッターシリーズを通し、本作で本格初登場した主要人物を3名紹介しよう。「テセウス・スキャマンダー」はニュートのお兄さん英国魔法省に勤務し闇祓いを担当、弟のニュートのことをいつも気にかけている。「ゲラート・グリンデルバルド」はポッターの最大の敵ヴォルデモートの前にいた史上最強の黒い魔法使い、人の心も支配し魔法界に亀裂を生じさせる。「ニコラス・フラメル」は賢者の石の製造に成功したという錬金術師、本作では600歳代として登場、パリの崩壊を止めるためにフィニートを使えと叫ぶシーンからはニコラスも相当な魔法使いの腕がありそうだ。

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 「ノー・マジ」とは no magic? 魔法を使えない者、すなわち普通の人間を指すとされる。 

 ティナの妹クイニーがたいへんなことになってしまった!まさに副題の「試される仲間たちの絆」そのものが問われる展開だ。クイニーはノー・マジのジェイコブが好きなあまり純潔の魔法使いの集団に堕ちていく、これはスター・ウォーズのダークサイドへの転落を連想させる展開だ。

 クリーデンスは今回も鬱屈したキャラで登場、魔力を持つことは前作で判明したが、ラストではとんでもなく強力な魔力を発揮、これからニュートらの壁として立ちはだかる展開、間違いなしだ! DCコミックスのフラッシュ役のイメージが強いから、このイメージギャップには驚きの一言。 

 〓IMPRESSION

ハリポタシリーズをずっと観てきた方、ファンタジー映画が好きな方、どんな魔法が飛び出すか興味がある方など、是非、劇場でご覧ください。繰り出される魔法の数々の映像は迫力いっぱい、とてもきれいな映像は感動ものです。

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